アンペグの音色の幅は、広いんです。

Aスタジオに常設しているベースアンプの音色づくりについてのお話です。

アンペグのヘッドアンプ「SVT3PRO」とキャビネット「810E」のコンビですが、20帖のスタジオとはいえ、かなり大きすぎるほどのパワーを誇っております。ともすれば、ボーカルをかき消し、キーボードをかき消し、ギターをもかき消してしまう、パワーがでます(笑)

ベテランの皆さまなら、ちゃんとドラムの音量に合わせて、ベースのボリュームを制御し、ボーカルも良く聞こえるアンサンブルでリハされているとは思います。そして、ベースを好みの音にするのと同時に、音量を絞っても、バンドの中でしっかり聴こえる音色づくりをされていることでしょう。

でも、「つまみがいっぱいあってなんだかわからん」「適当にいじればいいやん」というアバウトベーシストの皆様に、基本的な音色の作り方をご紹介しておきます。

まずはじめに。

「アンペグ」というだけで、ロック色の強いヴィンテージライクな迫力があって太い音が出る、でも、ファットだから音像がぼやける、きりっとしないベースアンプだ!などと決めつけるブランド信仰がありますが、実は「SVT3PRO」は、本当にいろんなジャンルに対応できる幅の広いキャラクターをもつヘッドアンプです。「SVT3PRO」は、真空管で音色をつくりトランジスタで出力するハイブリットアンプ。だからこそ、往年のアンペグらしい音色から、コンテンポラリーな音色まで作れるのです。

svt_3pro_f

では、基本的な使い方を。

できれば電源を入れる前に、電池内蔵のアクティブベースやプリアンプを使う場合のみ-15dbのスイッチを押し込みます。通常は使いません。

右側にあるグラフィックイコライザーをすべて真ん中にしてフラットにしておきます。

そして、左側にある丸いノブの一番右にある「チューブゲイン」を時計の12時の方向にセットします。★このつまみが、SVT3PROで一番、要注意!★ これは真空管へ流れる信号量を調節するものなのですが、左へ振り切ってゼロにすると、そもそもちゃんとプリアンプが機能しなくなってしまいます。基本は12時の方向。それより右へ上げていくと真空管のキャラクターが強くなるようですが、バランスを考えると、あまりおすすめできません。ちなみに電源が入っている状態で、このチューブゲインのつまみをゼロに絞ると、「ブーン」という発信音が出ます。故障ではないらしいですが、真空管への信号がカットされるためにノイズが出ていると思われ、このつまみはむやみに動かさない、というのがSVT3PROの掟です(笑)

で、チューブゲインのつまみを確認したら、音色を作るために聴きやすい大きさの音を出します。

左側にある丸いノブの中の「ゲイン」でベースからの入力信号を調整。「マスター」でアンプからの出力信号を調整。これは、ギターアンプ同様、ゲインでもマスターでもどちらを上げても、音が大きくなるんですが、荒々しくドライブ感が欲しいときは、ゲインを大きくマスターを小さくして音量を調整。クリアな音にしたいときは、ゲインを小さくマスターを大きくして音量を調整します。音色を調整する前なので、少し小さめの音量にしておいて、最終的に調整し直すのが基本です。

次に左側にある丸いノブの「ベース」「ミッドレンジ」「トレブル」の三つで、それぞれ低音、中音、高音を調整。「ミッドレンジ」は、その右にある「フリーケンシー」つまみで周波数帯域を変えることができます。この中音の「クセ」を可変できるため、丸いノブのみで、好みの音色へかなり追い込むことができるはずです。

どうしても好みの音にならない、特定の音が聴こえにくい、特定の音でハウリングする、エフェクターとの相性で、嫌な音になる、といった場合に、さらに細かく音色を作り込むために右側のグラフィックイコライザーを調整します。抜きたい帯域の音を下げていく、という攻め方のほうが、うまくいく場合が多いと思います。足りない帯域の音を加えたいときは、まず、左の丸いノブ(パラメトリックイコライザー)で大きくしてから調整するのが無難です。また、ひとつの帯域のみ、ガクンと上げたり下げたりするのではなく、なだらかな山や谷になるようにセットするのも基本中の基本。こうすることで、デッドポイント(特定の音だけが極端に聴こえない聴こえすぎる)ができにくくなります。

そして、それでも、高音が足りない、キラキラした輪郭、エッジがどうしても足りない、と感じたら、「ブライト」ボタンを押し込んでみましょう!一気に音色調整の基準が変化します。で、いちから再調整してみる……

ざっくりこんな感じ。七色の音が出せるはず!笑

いろんなスタジオやライブハウスで見かけることの多いアンペグの「SVT3PRO」だからこそ、基本的な音色の作り方を知っていると、セッティングの時間が大きく短縮できますよね!もちろん使い方はベーシストのセンス次第ですので、いろいろセッティングの仕方を試してみましょう。

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