シンバルはただの金属円盤ではないのです。

ドラムのシンバルについて、またもや考察!なぜシンバルは1枚2万円〜4万円とか高価格帯がスタンダードなのか?(スタジオY2の個人練習40時間〜80時間分に相当! 泣)

絶対流通量が多くはないっていうのはわかりますし、どうやって作られているかを知ると納得しちゃいます。

いわゆるキャストシンバルといわれるシンバル作りのおよその工程です。

■素材作り

キャストシンバルはインゴットと呼ばれる金属の固まりが素材です。大規模な工場にしてもマニュファクチャーな職人工場でも、溶鉱炉で金属を溶かして混ぜ合わせることからスタートします。インゴットの合金配合はメーカーのトップシークレット。銅とすず、混ざってるだけでしょ?って単純なことではなく、音色はもちろん耐久性も含め楽器として「シンバル」になれるかどうかは、分子レベルでの結合なども追求された金属の配合率が決め手になるそうな。

■インゴットの加熱→伸ばし→成型

インゴットは、真っ赤になるまで加熱してローラーで伸ばし、自然冷却させては、また加熱して伸ばす、という工程が繰り返されます。この時点では、いびつな円形のただの黒い金属板。金属板は周縁のいびつな形の部分を切り取られ円形となり、この工程では同時にカップの部分、ボウのカーブをざっくり成型されます。(いわゆるシートシンバルは、インゴットから加熱→伸ばし→冷却の繰り返し工程はなく秘密の配合をされた大きな金属板を正確に制御された機械でいきなりシンバルの形にカットし成型しているそうです。)

■レイジングとエッジ加工

次にシンバルの表面に溝を彫るレイジングという作業。回転するシンバルに刃を押当てて溝を彫って行きます。職人の方の経験と勘って感じがすごく漂う工程ですよねー。一枚につきほんの数秒!YouTube動画を見るとシンバルの削りカスが勢い良く出て、そのあと、ピッカピカの色に変わって、なんだかこの工程がいちばん楽しそう!いやいや、そりゃもう大変難しい作業なんでしょうけど。そして次はエッジ加工。回転する台の上にシンバルを載せ、ろくろのような要領でエッジが削られます。

■ベンディングとハンマリング

高級シンバルではベンディングという工程が行われています。素材の時の板状の形状記憶が金属の分子レベルであるらしく、板に戻ろうとする力が働いているそうな。そこで、シンバルを一旦逆向きに反り返らせ、またもとの正しい向きに直す、という「ベンディング」を行うことで、シンバルの反り返り防止になるそうです。

次に、シンバルに息を吹き込むといわれているハンマリング。シンバル全体の表目の凸凹を成型する作業ですね。メーカーによってコンピュータの精巧な制御による機械で行ったり、超昔ながらに職人が手で打ち込んだり、様々。このハンマリングは、レイジングの前にしたり後したり、製品によって工程も変わり、レイジングとハンマリングを繰り返し行うこともあるようです。

この一連の微妙な作業で、シンバルとしての響きが出来上がります。

■仕上げ

最後に表面を磨いてきれいな製品になっていきます。シートシンバルは機械での磨きだけらしいですがキャストシンバルは、仕上げは人の手で磨き上げているそうです。くーご苦労様!

磨き終わったら表面にコーティング。スプレーのようにコーティング材を吹き付け最後の最後に刻印やらロゴやら転写され完成!

■サウンドチェック

単純構造のシンバルですが、一枚ごとに品質の差が出る繊細なものなので当然サウンドチェックを経て出荷されます。サウンドチェックは、完全に完成する前にも何回も行われています。最終的にはラスボスのような職人さんが一枚一枚叩いて音色で検品しているメーカーがほとんどだそうです。

以上がシンバル作りのおよその工程です。

さて、どう感じられたでしょうか?

そもそも楽器は超大量生産できる日用品のようなコストダウンは無理。ましてや人の手による繊細な技術がシンバルの出来を左右するという他の複雑な楽器と同様の性質上、金属の円盤であっても、高額にならざるをえないわけですね。

楽器はどんなものでも、たくさんの手間がかかっていると想像できるものですがリハスタのドラムのシンバルを鳴らす時、もし、ただの金属の円盤をしばいているって感覚のドラマーがいるとしたら、やっぱり少しは、シンバルができるまでの情熱と技術をリスペクトしてほしいなあ、と思う今日この頃です。

あ、またも思いっきり踏み込んでしまいました。(そしてものすごい長文ご容赦! w)

シンバルメーカーなどのYouTube動画も貼っておきます。百聞は一見に如かず!

       studio
                         price
                         access
                         reservation