調べてみると可能性は大きく2つ。
①隣のスタジオの電源を介して電気信号がマーシャルアンプの電源から混入。
②隣のスタジオの演奏がパワードミキサーを介して高周波で拡散、それをアンプのトランスが拾った。
まあ、接触感染か、空気感染か、みたいな違いです w
接触感染的な①だとしたら、毎日この怪奇現象が起きているはず。アンプが根本的に設計不良品でもないかぎり、電源からの電気信号をノイズから分離してきれいに再生することは不可能。あとでいろいろ実験もしましたが、ありえないということが確定しました。なので、空気感染的な②であることは、確定。パワードミキサーからボーカルマイクが拾ったボーカルや楽器音をラジオ電波さながら高周波として微弱ながら電波を飛ばしているようなのです。これをアンプのトランスそのものが拾ったというより、ギター本体のピックアップでもなく、シールド全体がアンテナとなって拾ってしまっていたのでした!簡易で実験したら再現できたのです!
これだけの説明だと「じゃあ、いつでもどのバンドでも、ギターアンプから隣の演奏がラジオのように聴こえまくるはずやん!」と訝しく思われるかもわかりませんが、問題はシールドなんです。通常のシールドならば何も起きたりはしません。
お客様のシールドのプラグがなんらかの原因で「検波」ができる状態になってしまっていたと思われます。もっというと、シールド、という名のごとく、外部からの信号をシールドして混入しないようになっているケーブルなのですが、このシールド機能そのものの性能がよくないものだった可能性も高いようです。ノイズ同様、高周波をがっちり拾ってしまいます。つまり、ギターシールドがアンテナとなって隣から飛んでいる電波を拾い集め、さらにプラグの金属部分でラジオの周波数を合わせるように「検波」して、きれいに信号を分離してアンプに送り込み、マーシャルアンプはそれを増幅。こうやって怪奇現象は起きていたのです。
シールドについては、音の違いにこだわりを持つプロミュージシャンは多いですが、正直、ちゃんと外部からの電気信号を「シールド」できていることが肝心カナメ。
音痩せみたいなことをこだわってもしょせん信号は伝わる道幅や距離に左右され劣化するものです。出音は、まずはアンプ。次はギターのピックアップ。そして楽器そのもののバランス。エフェクターの回路。電源。そしてシールドの順で影響が大きいわけです。
シールドもメーカーによってたしかに音が変わりますが、そんな微細な音の差異がぶっ飛ぶほどアンプの真空管が違うと劇的に音が変わってしまいます W
シビアなレコーディング現場では当てはまる「シールドによって劇的に音が変わる」っていうプロフェッショナルな話を、アマチュアバンドのライブ現場に持ち込み、シールドの音違いにこだわらせるマインドコントロールは好きになれませんが、あまりにも怪しいシールドだけは使わないようにしましょう。
というわけで「隣のスタジオの演奏がアンプから聴こえてくる怪奇現象」は、決してスタジオの設備の問題ではありませんので、どうか誤解ないさいませんよう、よろしくお願いしまーす!長文ご容赦!